
競馬でよく聞く「雁行」ってなに?
競馬中継をよくご覧になる方は、「雁行状態」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。これは、数頭の馬が先頭集団で斜めに並んで走っている状態のことを指します。まるで、空を飛ぶ雁の群れが、きれいなV字を描いて飛んでいる姿を思い浮かべてみてください。あの雁の群れのように、馬たちが斜めに並んで走っている様子から、「雁行状態」と呼ばれるようになりました。
では、なぜ馬たちはこのような隊列を作るのでしょうか?それは、少しでも楽に走りたいという馬の本能によるものです。前の馬のすぐ後ろにつくと、風よけになり、空気抵抗を少なくすることができます。そのため、馬たちは前の馬の斜め後ろに入り込み、空気抵抗を減らして体力を温存しようとします。
この雁行状態は、レースの序盤や中盤、特にペースが落ち着いている時によく見られます。先頭の馬たちが、まるで示し合わせたかのように、一糸乱れぬ隊列を組んで走る姿は、競馬ならではの美しい光景と言えるでしょう。まるで、騎手たちが手綱を巧みに操り、馬たちがそれに応えるかのように、優雅に隊列を維持しているように見えます。
しかし、この雁行状態が長く続くと、レース展開が膠着状態に陥りやすく、最後の直線での激しい追い比べが見られないこともあります。そのため、騎手たちは、この雁行状態を崩すタイミングを見計らい、スパートをかける瞬間を虎視眈々と狙っているのです。雁行状態は、レース展開を左右する重要な要素の一つであり、実況アナウンサーも注目して伝えています。この状態を理解することで、競馬観戦が一層面白くなるでしょう。