
入れ込み:競走馬の過剰興奮
競馬において「入れ込み」とは、競走馬がレース前に極度に興奮状態に陥り、平常心を失ってしまうことを指します。これは、人間でいうところの「あがり症」のようなものです。普段は温厚な馬でも、レースの大一番となると、周りの雰囲気やプレッシャーに呑み込まれてしまうことがあります。まるで火がついたように、精神的に昂ぶってしまうのです。
入れ込み状態の馬は、パドックでの周回運動で落ち着きなく歩き回ったり、しきりに頭を上下に振ったりします。また、ひどい汗をかき、まるで水浴びをした後のようにびしょ濡れになることもあります。さらに、口の端に白い泡を溜めるのも、入れ込みの代表的な兆候です。まるでレース前から全力で走り抜けてきたかのような荒い息遣いを見せる馬もいます。
入れ込みが馬にとって大きなマイナス要因となるのは、レース前に既に体力を消耗してしまうためです。競走馬は、スタートからゴールまで持てる力の全てを出し切って走ります。しかし、入れ込みによってレース前に体力を消耗してしまうと、肝心のレースで本来の力を発揮することができません。スタートダッシュで出遅れたり、最後の直線で伸びを欠いたりする原因となります。騎手の指示にも従いにくくなり、レース運びにも悪影響を及ぼします。
このように、入れ込みは競走馬にとって、レースの結果を左右する大きな要素となります。馬券を買う際には、パドックで馬の状態をよく観察し、入れ込みの兆候がないかを確認することが大切です。落ち着き払って堂々とした様子で周回している馬を選ぶことが、的中への近道となるでしょう。