
二人曳き:馬の気持ちを知る手がかり
競馬を楽しむ上で、馬の状態を間近で見ることができるパドックでの観察は、馬券を選ぶ上で欠かせません。馬の調子や気持ち、レースへの集中度など、様々な情報を読み取ることができるからです。パドックを周回する馬たちの歩き方や様子は実に様々です。落ち着いて堂々と歩く馬、少し緊張気味に歩を進める馬、そして、中には人が二人掛かりで曳かれている馬もいます。この「二人曳き」とは、一体どのような状態なのでしょうか。一見すると、ただ単に扱いにくい馬、気性の荒い馬のように見えるかもしれません。しかし、実は馬の状態を知る上で重要な手がかりとなる場合があるのです。
二人曳きには、大きく分けて二つの理由が考えられます。一つ目は、馬が若くて経験が浅く、パドックの雰囲気に慣れていない場合です。初めての大舞台に緊張して興奮しているため、暴れたり、走り出したりしてしまうのを防ぐために、二人がかりで曳いているのです。このような場合は、馬の若さゆえの元気さを示しているとも言えます。逆に、ベテランの馬が二人曳きされている場合は注意が必要です。二つ目の理由として、馬体に何らかの異変が生じている可能性が考えられます。脚に痛みを抱えている、もしくは体調が優れないなど、万全の状態ではない時に、馬は普段とは異なる歩き方や仕草を見せることがあります。それを察知した厩務員が、馬に負担をかけないように、また、他馬や人への危害を防ぐために、二人で曳いているのです。二人曳きは必ずしも悪い兆候とは限りませんが、馬の状態を深く観察する必要があると言えるでしょう。パドックでの観察は、単に馬の姿を見るだけでなく、その背景にある様々な情報を読み解くことで、より競馬を楽しむことができるのです。