
ばんえい競馬:馬の力と技の競演
世界で唯一、北海道帯広でしか見られない競馬、それがばんえい競馬です。 他の競馬とは全く異なるその姿は、見る者を惹きつけずにはおきません。ばんえい競馬の起源は、農耕馬の力比べにあります。力自慢の馬たちが、重い鉄のそりを引き、その速さを競う姿は、まさに迫力満点です。
レースは、二百メートルの直線コースで行われます。このコースには、途中に二つの坂が設けられており、馬たちは重いそりを引きながら、この坂を乗り越えなければなりません。そりの重さは、なんと百トンを超えることもあり、馬たちの力強さと、騎手の巧みな技術が試されます。平坦な道とは違い、坂を上る際に馬は全身の筋肉を使い、大地を蹴り上げます。その姿は、まさに力と技の結晶と言えるでしょう。
スタート直後、騎手たちは馬をじっくりと進ませ、最初の坂の手前で一度停止します。これは、馬に力をためさせ、一気に坂を駆け上がらせるための大切な作戦です。息を呑んで見守る観客席からは、馬たちの荒い息づかいが聞こえてくるようです。坂を登り切った馬たちは、最後の直線に向かって再び走り出します。ゴール前の最後の力比べは、手に汗握る熱戦です。
この独特な競馬は、国内外から多くの観光客を呼び寄せ、北海道の冬の風物詩となっています。力強く、そして勇壮な馬たちの姿は、見る人の心を掴み、忘れられない感動を与えてくれます。雪景色の中、力強い馬たちが百トンの鉄のそりを引く姿は、まさに冬の帯広を象徴する光景と言えるでしょう。