
馬の風邪にご用心!
馬も私たち人間と同じように、風邪をひきます。人間がくしゃみや咳をするように、馬も鼻水を垂らしたり、咳き込んだり、発熱したりといった症状が現れます。こうした症状が出る病気にはいくつか種類があり、正式には馬伝染性気管支炎や馬インフルエンザなどと呼ばれ、これらをまとめて「感冒」と呼ぶのが一般的です。
感冒の原因となるのはウイルスです。ウイルスは目に見えないほど小さく、空気中を漂ったり、感染した馬の鼻水や唾液などに含まれていたりします。健康な馬が、ウイルスに汚染された干し草を食べたり、感染した馬の近くにいることで、空気中に漂うウイルスを吸い込んで感染してしまいます。特に、生まれたばかりの子馬や年老いた馬、そして体力が落ちている馬は、免疫力が低いため感染しやすく、重症化しやすいので、注意が必要です。
競馬の世界では、馬の感冒は大きな問題となります。馬が感冒にかかってしまうと、レースに出走することができなくなり、出走取消となることがあります。さらに、厩舎にいる他の馬にも感染が広がってしまうと、厩舎全体がレースに出られなくなる可能性も出てきます。そうなると、競馬の開催に大きな影響が出てしまうため、競馬関係者は常に馬の健康状態を注意深く観察し、日頃から厩舎の清掃や消毒を徹底するなど、感冒の予防に細心の注意を払っています。馬の健康管理は、競馬を支える上で非常に重要な仕事と言えるでしょう。