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馬のケガ

鞍傷:愛馬を守るための知識

鞍傷とは、馬の背中に鞍が触れることでできる傷のことです。ちょうど、私たちが合わない靴を履いて靴擦れを起こすのと同じように、馬も体に合わない鞍を使うことで背中に傷を負ってしまうのです。鞍と馬体の間で摩擦や圧迫が起きると、皮膚が炎症を起こします。すると、痛みや腫れが現れ、ひどい時には出血したり膿んだりすることもあります。 鞍傷の主な原因は、合わない鞍を使っていることです。鞍のサイズが合っていないと、馬の背中に均等に重さが分散されません。特定の場所に負担が集中し、摩擦や圧迫が大きくなってしまうのです。また、鞍の形状が馬の背中の形に合っていない場合も、同じように傷の原因となります。さらに、鞍の下に敷くパッドが薄すぎたり、汚れて固くなっていたりすると、クッションの役割を果たせず、鞍傷を悪化させる可能性があります。 鞍を正しく装着していないことも鞍傷の原因となります。鞍がずれたり、きつく締めすぎたりすると、馬の背中に余計な負担がかかります。また、乗馬中に騎手の姿勢が悪かったり、馬が急な動きをした場合も、鞍がずれて鞍傷につながることがあります。 鞍傷は、馬の健康や競技能力に大きな影響を与えます。痛みがあると、馬は本来の力を発揮できません。競技馬の場合、パフォーマンスの低下につながり、最悪の場合、競技に出場することさえできなくなってしまうこともあります。さらに、鞍傷が慢性化すると、馬の背中に傷跡が残ってしまうこともあります。 鞍傷を予防するためには、まず、馬に合った鞍を選ぶことが大切です。専門家のアドバイスを受けながら、馬の体格や背中の形に合った鞍を選びましょう。また、鞍の下に敷くパッドも、厚手で清潔なものを使い、こまめに交換することが重要です。さらに、鞍を正しく装着し、乗馬中は常に馬の状態に気を配りましょう。少しでも異常を感じたら、すぐに乗馬を中止し、馬の背の状態を確認することが大切です。そして、もし鞍傷ができてしまったら、自己判断で治療するのではなく、獣医師に相談しましょう。適切な処置を受けることで、傷の悪化を防ぎ、早期回復につなげることができます。