特徴

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馬体の各部位

知られざる馬体の秘密:夜目の謎

馬の脚をよく観察すると、前脚の手首と肘の間あたり、そして後脚のかかとに当たる部分の内側に、栗色の小さな塊があることに気付くでしょう。一見、土の塊が付着しているようにも見えますが、これは「夜目」と呼ばれる馬の体の一部です。初めて聞く方は、何かの病気や怪我ではないかと心配されるかもしれませんが、ご安心ください。夜目はすべての馬に備わっている正常な組織です。 夜目の場所は前脚では前膊部(ぜんぱくぶ)の内側、後脚では飛節(ひせつ)の内側です。前膊部は人間でいうと手首と肘の間の部分、飛節はかかとに当たる関節です。この場所に左右対称に、一つずつ夜目があります。大きさは親指の爪くらいで、色は黒っぽい茶色をしています。硬さは爪のように硬く、表面はザラザラしています。 夜目の役割は、まだはっきりと解明されていません。一説には、馬が歩いたり走ったりする際に、地面からの衝撃を吸収するクッションの役割を果たしているのではないかと言われています。また、夜目の形状や模様は馬ごとに異なり、人間の指紋のように一つとして同じものはありません。そのため、馬の個体識別に利用されることもあります。例えば、競走馬の登録の際には、夜目の写真を撮影し、記録に残すことになっています。これは、同じ名前や血統の馬がいても、夜目によって確実に区別するためです。 ところで、「夜目」という不思議な名前の由来は、馬の学名「Equus caballus」に関係があると言われています。この学名の「caballus」の部分が、ラテン語で「小さな硬いもの」という意味を持ち、それが転じて「夜目」と呼ばれるようになったという説があります。夜目の見た目から名付けられたのではなく、学名に由来するというのは意外な事実です。まるで、馬の体に刻まれた小さな秘密の記号のようです。
馬の種類

黒鹿毛:競馬場を彩る漆黒の輝き

黒鹿毛は、馬の毛色の中で最も濃い黒色をしており、その名の通り、鹿の毛並みを思わせる深い黒色が特徴です。全身が黒く覆われており、まるで夜空に輝く星のように、光沢を帯びた美しい黒色をしています。漆黒の毛並みは、見る角度や光の当たり具合によって、様々な表情を見せ、時に青みがかった黒色、時に茶色がかった黒色に見え、その変化もまた黒鹿毛の魅力の一つと言えるでしょう。 しかし、黒鹿毛の馬は完全に真っ黒というわけではありません。よく見ると、眼の周りや鼻先、口元、そしてお腹や脚の付け根などには、うっすらと褐色がかった部分が見られます。この部分は、日光に当たることでより明るく見え、まるで黒色の絹織物に金糸で刺繍を施したかのような、繊細な模様を作り出します。この褐色の部分は、個体によって大きさや形が異なり、それぞれの馬の個性となっています。 競馬場では、この黒鹿毛の馬は、その風格と美しさでひときわ目を引きます。深い黒色が織りなす光沢、そしてわずかに覗く褐色の部分は、他の毛色の馬とは異なる特別な雰囲気を醸し出し、観衆を魅了します。特に、レース前にパドックを周回する黒鹿毛の馬は、その堂々とした姿と美しい毛並みで、多くの競馬ファンの心を掴みます。 黒鹿毛の馬は、古くから名馬と呼ばれる馬たちにも多く見られ、その力強さと気高さは、人々を惹きつけてきました。黒鹿毛の持つ独特の雰囲気は、競馬という舞台において、より一層その魅力を増し、多くの名勝負を生み出してきました。そしてこれからも、黒鹿毛の馬たちは、競馬界を彩る存在として、走り続けることでしょう。