
毛並みの変化でわかる体調不良
競馬において、競走馬の状態を見極めることは馬券を当てる上でとても大切です。パドックで馬を観察する際、馬の体の輝きや毛並みの滑らかさといった外見は、その馬の調子を判断する重要な手がかりとなります。中でも、「毛羽立ち」と呼ばれる現象は、馬の健康状態に大きな問題があることを示す重要なサインです。「毛羽立ち」とは、馬の体毛が逆立ち、まるで花が咲いたように見える状態のことを指します。健康な馬の体毛は、絹のように滑らかで美しい光沢を放っていますが、「毛羽立ち」を起こしている馬は、体毛が逆立ち、光沢がなくなり、全体的にぼさぼさとした見た目になります。これは、高い熱や体の水分が不足した状態、疲れが溜まっている状態など、馬の体調不良を示すサインです。
具体的に見ていくと、馬の体温が上がると、体内の熱を逃がそうとして毛穴が開き、毛が逆立ちます。まるで鳥肌が立つように、毛が逆立つことで体表面積を増やし、放熱を促そうとするのです。また、水分が不足すると、皮膚の弾力が失われ、毛並みに艶がなくなり、乾燥して逆立ちやすくなります。さらに、厳しい練習やレースが続くと、馬は肉体的に疲労し、体毛のケアがおろそかになりがちです。疲労が蓄積すると、毛並みが乱れ、「毛羽立ち」の状態になりやすくなります。
普段は美しく整えられた競走馬の毛並みがこのような状態になっている場合は、その馬の体調に不安があると判断できます。パドックでの観察では、馬の毛並みだけでなく、目の輝きや歩く様子など、他の要素も総合的に判断することが重要です。しかし、「毛羽立ち」は馬の体調不良をはっきりと示すサインの一つなので、特に注意深く観察する必要があります。馬券を買う際には、このような細かな観察が、勝敗を分ける鍵となるのです。