
斜行:競馬における重大な違反
競馬において、馬がまっすぐに走らず、斜めにコースを横切ることを斜行といいます。まるで車が車線を逸脱するように、定められた走路から外れてしまう行為です。これは、他の馬の進路を妨害するだけでなく、接触や落馬といった大きな事故を引き起こす可能性があるため、競馬の公正さを揺るがす重大な違反行為とされています。
斜行は、騎手が馬を適切に制御できていないことを示しています。熟練の騎手は、手綱操作や脚の圧力、重心の移動などを駆使して、常に馬をまっすぐ走らせるよう努めます。しかし、騎手の技術が未熟な場合や、馬自身の癖、あるいはレース終盤の疲労などによって、馬が斜行してしまうことがあります。また、馬場がぬかるんでいる、風が強いといった天候も、斜行の原因となることがあります。
斜行の程度が軽微であっても、重大な事故につながる危険性を孕んでいます。わずかな斜行が他の馬との接触を招き、その結果、騎手が落馬したり、馬が転倒したりする可能性があるからです。このような事態を防ぐため、競馬では斜行に対して厳しい罰則が設けられています。斜行した騎手は、制裁として騎乗停止処分を受けることがあります。故意による斜行はもちろんのこと、過失による斜行であっても、制裁の対象となります。
騎手は、常に馬の進路を正しく保つよう細心の注意を払わなければなりません。馬の状態や周りの状況を常に把握し、的確な指示を馬に伝え続ける必要があります。また、レース前の準備段階から、馬の癖や特徴を理解し、斜行しにくいよう対策を講じることも重要です。競馬は、馬と騎手の協力があってこそ成り立つ競技です。安全で公正なレースを実現するためにも、斜行防止への意識を高め、適切な対策を講じることが不可欠です。