
坂路調教の秘密
競走馬を鍛える方法は様々ですが、近年、調教師の間で評判なのが「坂路調教」です。これは、文字通り、傾斜のある走路で馬を走らせる調教方法です。平坦な走路を走るよりも負荷が大きいため、馬の心肺機能と筋肉を効率よく鍛えることができると言われています。
この坂路調教を行うための施設、坂路走路は、比較的新しい調教施設です。滋賀県にある栗東調教センターには1985年に、茨城県にある美浦調教センターには1993年に導入されました。それ以前は、平坦な走路での調教が主流でしたが、坂路走路ができたことで、調教の幅が大きく広がりました。
坂路調教の利点は、心肺機能の強化だけではありません。後肢の強化にも繋がるとされています。傾斜のある走路を駆け上がることで、後ろ脚に大きな負荷がかかり、力強い後ろ脚を作ることができます。力強い後ろ脚は、レース終盤の瞬発力に繋がると考えられています。また、坂を駆け上がることで、馬のバランス感覚も養われます。
坂路調教は、馬の能力を最大限に引き出すための新たな取り組みとして、多くの調教師や馬主から期待されています。調教の成果は、レースの結果に現れるはずです。今後も、坂路調教は、競走馬の育成において重要な役割を果たしていくことでしょう。