
DDSP:子馬の呼吸困難
競走馬、特にサラブレッドの子馬にとって、呼吸器の健康は非常に大切です。呼吸器の不調は、馬の健康状態全体に悪影響を与えるだけでなく、競走馬としての能力にも深刻なダメージを与えることがあります。様々な呼吸器疾患の中でも、子馬に多く発生する病気の一つが、背側軟口蓋変位(DDSP)です。今回は、このDDSPについて詳しく説明します。
DDSPとは、喉の奥にある軟口蓋と呼ばれる部分が、本来あるべき場所からずれてしまう病気です。この軟口蓋は、呼吸をする際に重要な役割を担っています。例えるなら、軟口蓋は扉のような役割で、空気の通り道を適切に調整しています。この扉が正常に機能しなくなると、空気の通り道が狭くなってしまい、スムーズに呼吸をすることができなくなります。DDSPを発症した子馬は、運動時にゼーゼーという呼吸音を立てたり、苦しそうに呼吸をしたりします。また、鼻血を出すこともあります。これらの症状は、軟口蓋が変位することで気道が狭くなり、呼吸が困難になるために起こります。DDSPは、生まれつきの体の構造や、喉の炎症などが原因で発症すると考えられています。重症の場合には、外科手術が必要となるケースもあります。早期発見・早期治療が重要となるため、子馬の呼吸状態に異常が見られた場合は、速やかに獣医師に相談することが大切です。