
競走馬の喘鳴症:その症状と影響
喘鳴症は、競走馬にとって大きな問題となる呼吸器の病気です。「のどなり」とも呼ばれるこの病気は、喉の奥にある空気の通り道である喉頭口を調節する神経の働きが悪くなることで起こります。この神経が麻痺すると、喉頭口が狭くなってしまい、スムーズに空気が通れなくなります。
このため、馬が息を吸ったり吐いたりするたびに、「ヒューヒュー」あるいは「ゼーゼー」といった異常な呼吸音が聞こえるようになります。まるで笛を吹くような音や、苦しそうに息をする音に似ていることから、喘鳴症という名前が付けられました。普段はおとなしくしている時にはあまり目立ちませんが、運動を始めると呼吸音がはっきりと聞こえるようになります。特に、競走馬のように全力で走る時には、呼吸が激しくなり、この音も大きくなります。
競走馬は、レースで全力を出すためにたくさんの空気を必要とします。しかし、喘鳴症の馬は、狭くなった喉頭口のせいで十分な空気を吸い込むことができません。これは、人間が鼻をつまんで走るのと同じような状態です。息苦しさから、本来持っている力を出し切ることができず、レースの結果に大きな影響を及ぼします。走る速度が落ちるのはもちろん、持久力も低下するため、競走馬としての能力を著しく低下させる大きな原因となるのです。
そのため、喘鳴症は競走馬にとって深刻な病気として、関係者を悩ませています。