入厩検疫

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馬の病気

競馬と伝貧:知っておくべきこと

伝貧とは、伝染性貧血を短くした言葉で、馬だけに起こる感染症です。伝染性貧血ウイルスによってこの病気が引き起こされ、一度かかってしまうと完全に治すのがとても難しいことで知られています。 このウイルスは、吸血昆虫によって馬から馬へとうつります。たとえば、アブやブユなどがウイルスを持っている馬の血を吸い、その後別の馬を刺すと、その馬にウイルスが感染してしまうのです。また、注射針や手術器具などの医療器具を介して感染することもあります。そのため、競馬場や牧場では、これらの器具の使い回しを避け、常に清潔に保つなど、感染予防に細心の注意を払っています。 伝貧に感染した馬は、高い熱が出たり、貧血になったりするなど、様々な症状を示します。さらに、食欲がなくなり、だるそうにしている様子も見られます。病気が進むと、次第に体が弱っていき、やがて死に至ることもあります。現在、この病気を治すための有効な治療法は見つかっていません。そのため、残念ながら、伝貧に感染した馬は、他の馬への感染拡大を防ぐため、法律に従って安楽死させなければなりません。これは、競馬界全体を守るために必要な、とてもつらいながらも大切な決断です。 伝貧は、人へとうつる病気ではないので、私たち人間が感染する心配はありません。しかし、馬にとっては大病であることに変わりはありません。競馬関係者は、常に伝貧への警戒を怠らず、日頃から感染予防に懸命に取り組んでいます。馬の健康を守ることは、競馬という文化を守ることにもつながるからです。
法律・規制

競馬と検疫:馬の健康を守る重要なプロセス

競馬は馬の力と速さを競う競技ですが、その舞台裏では馬の健康を守る様々な取り組みが行われています。中でも重要なのが「検疫」です。これは、人における健康診断や隔離のように、馬の健康状態を調べ、伝染病から守るための大切な手続きです。 検疫は、法律に基づいて行われます。これは、家畜の伝染病を防ぐための法律で、馬の輸出入や国内移動の際に必ず検疫を受けなければなりません。具体的には、まず馬の体温を測り、健康状態を初步的に調べます。さらに、血液検査や臨床検査といったより詳しい検査を行い、感染症にかかっていないかをしっかりと確認します。 もし検査の結果、感染症の疑いがあれば、隔離という措置が取られます。これは、他の馬とは別の場所に一定期間馬を留め置き、経過を観察するものです。隔離期間は、疑われる病気によって異なります。そして、必要に応じて獣医師による治療が行われます。このように、検疫では、病気の早期発見と蔓延防止に努めています。 検疫は、競馬界全体にとってなくてはならないものです。競馬に出走する馬たちが健康でなければ、レースを開催することはできません。検疫によって、馬の健康を守り、安全なレースの実施を支えています。また、すべての馬が健康な状態でレースに臨むことで、公平な競争が実現できるという点も重要です。つまり、検疫は競馬の公正性を保つためにも重要な役割を果たしていると言えるでしょう。 このように、検疫は馬の健康と競馬の健全な発展に大きく貢献しています。私たちが競馬を楽しむことができるのも、こうした見えない努力のおかげと言えるでしょう。