乗り込み

競走馬にとって、日々の調教は欠かせないものです。調教はただ走らせるだけでなく、馬の状態を見極めながら進める必要があります。「乗り込む」とは、こうした計画的かつ入念な調教を表す言葉です。 特に、しばらくレースに出ていない馬や初めてレースに挑む馬にとって、この「乗り込み」は極めて重要です。十分な調教を積んだ馬は、レースで持続力や瞬発力を発揮できるだけでなく、精神的な落ち着きも見られます。まるで一流の職人が丹精込めて作品を仕上げるように、調教師は馬の能力を最大限に引き出すため、日々馬と向き合い、調教を積み重ねていきます。 具体的には、速い速度で走る調教だけでなく、ゆっくりとした速度で長い距離を走る調教、馬場への慣れを促すための軽めの運動など、様々な種類の調教を組み合わせます。そして、それぞれの馬の個性や成長段階、目標とするレースの距離や性質に合わせて、最適な調教メニューを組み立てます。長期間レースから遠ざかっていた馬は、基礎体力を取り戻すための調教から始め、徐々に速い調教を取り入れていきます。一方、若い馬は、心肺機能や筋肉を鍛えるとともに、競走馬としての精神的な成熟を促すための調教を行います。 このように、「乗り込む」という言葉には、ただ単に調教を重ねるという意味以上の、馬の成長を促し、レースで最高のパフォーマンスを発揮できる状態に導くという意味が込められています。関係者や競馬を愛する人々は、この「乗り込み」具合を注意深く観察し、馬の状態を見極めようとするのです。