
速さの秘密!併せ馬の効果
連れだって馬を走らせること、これを併せ馬といいます。普段は馬を一頭だけで走らせる単走という練習方法が主ですが、二頭以上の馬を一緒に走らせる練習を併走、あるいは併せ馬と呼びます。この練習は馬を育てる上で大切な役割を担っています。
まるで本当の競走のように、馬たちは互いに競い合い、少しでも速く走ろうとします。そのため、併せ馬を行うと、一頭だけで走る時よりも速い速度で走ることがほとんどです。これは、馬が持っている闘争心に火をつけ、隠れた力を発揮させる効果があると考えられています。
併せ馬は、速く走る練習だけでなく、他の馬と並んで走る感覚を掴む練習にもなります。実際の競走では、当然ながら他の馬と一緒に走らなければなりません。他の馬との距離感や自分の位置取りを体感しておくことは、レース本番でスムーズに走りを組み立てていく上で非常に大切です。たとえば、前に馬がいることで砂を被る感覚や、後ろから馬が迫ってくるプレッシャーなどを、併せ馬を通して経験できます。
さらに、併せ馬は騎手にとっても重要な訓練となります。他の馬と並んで走ることで、騎手は馬を操り、適切な位置取りを保ち、進路を確保する実践的な経験を積むことができます。また、馬同士の駆け引きの中で、冷静に状況判断を行い、最適なタイミングで馬を仕掛ける技術も磨くことができます。このように、併せ馬は馬だけでなく、騎手の育成にも大きく貢献する、大切な調教方法なのです。