
さくへき馬とガス腹の関係
さくへき馬とは、馬小屋の柵や水桶の縁などに前歯を引っかけて、首を弓なりに曲げながら空気を吸い込む癖のある馬のことです。この行動は「グイッポ」とも呼ばれ、まるでげっぷをしそうに見えることから名付けられました。さくへき馬は、空気を飲み込むことでお腹を膨らませ、あたかも満腹感を得ているかのような行動を見せます。しかし、この一見無害に見える癖は、実は馬の健康に様々な悪影響を及ぼす可能性を秘めています。さくへき自体は病気ではありませんが、胃の中に過剰に空気が溜まることで、ガスによるお腹の張りや疝痛(せんつう)、さらには鼓腸症などの消化器系の病気を引き起こすことがあります。また、常に何かを口にしていないと気が済まないため、馬小屋の柵や桶などを前歯で傷つけてしまうことも少なくありません。さらに、さくへきの癖がひどくなると、歯がすり減ったり、欠けたりする場合もあります。このようなさくへき行動の根本原因は、はっきりとは解明されていませんが、飼料の変更や飼育環境の変化によるストレス、運動不足、または単なる癖などが考えられます。さくへき馬の管理においては、馬の健康と安全を守るため、様々な工夫が必要です。例えば、牧草などを常に食べられるようにしておく、退屈しないようにおもちゃを与える、さくへき防止用の首輪を装着するなどの対策が有効です。さくへきの癖は、一度身についてしまうとなかなか治りにくいものです。そのため、早期発見と適切な対処が重要となります。愛馬がさくへき行動をしていることに気づいたら、獣医師に相談し、適切なアドバイスを受けるようにしましょう。