知られざる馬体の秘密:夜目の謎

知られざる馬体の秘密:夜目の謎

競馬を知りたい

先生、「夜目」って、馬の手首と肘の間とか、飛節の内側にある茶色い塊のことですよね?

競馬研究家

そうです。よく知っていますね。学問的には「附蝉(ふぜん)」と呼ばれ、せみが木にとまっているように見えることからその名前が付いたんですよ。

競馬を知りたい

へえ、面白いですね!なんでそんなところに塊があるんですか?

競馬研究家

馬は昔、五本の指を持っていたのが、進化の過程で中指一本で体を支えるようになりました。「夜目」はその名残で、親指が退化した痕跡だと言われています。馬によって形や大きさが違うので、個体を見分けるのにも役立つんですよ。

夜目とは。

「競馬」の用語で『夜目』というものがあります。これは、馬の前足の、人と比べると手首と肘の間の内側、そして後ろ足のくるぶしの内側の後ろあたりに見られる茶色いかたまりを指します。正式には『附蝉(ふぜん)』と言い、蝉が木にとまっている様子に似ていることからこの名前がついたと言われています。馬はもともと五本の指を持っていましたが、今では中指一本で体を支えています。『夜目』は、かつて存在した親指が退化した痕跡とも言われています。その形や表面の模様、大きさなどは、人間の指紋のように馬それぞれで異なるため、馬を見分けるために使っている国もあるそうです。

夜目とは何か

夜目とは何か

馬の脚をよく観察すると、前脚の手首と肘の間あたり、そして後脚のかかとに当たる部分の内側に、栗色の小さな塊があることに気付くでしょう。一見、土の塊が付着しているようにも見えますが、これは「夜目」と呼ばれる馬の体の一部です。初めて聞く方は、何かの病気や怪我ではないかと心配されるかもしれませんが、ご安心ください。夜目はすべての馬に備わっている正常な組織です。

夜目の場所は前脚では前膊部(ぜんぱくぶ)の内側、後脚では飛節(ひせつ)の内側です。前膊部は人間でいうと手首と肘の間の部分、飛節はかかとに当たる関節です。この場所に左右対称に、一つずつ夜目があります。大きさは親指の爪くらいで、色は黒っぽい茶色をしています。硬さは爪のように硬く、表面はザラザラしています。

夜目の役割は、まだはっきりと解明されていません。一説には、馬が歩いたり走ったりする際に、地面からの衝撃を吸収するクッションの役割を果たしているのではないかと言われています。また、夜目の形状や模様は馬ごとに異なり、人間の指紋のように一つとして同じものはありません。そのため、馬の個体識別に利用されることもあります。例えば、競走馬の登録の際には、夜目の写真を撮影し、記録に残すことになっています。これは、同じ名前や血統の馬がいても、夜目によって確実に区別するためです。

ところで、「夜目」という不思議な名前の由来は、馬の学名「Equus caballus」に関係があると言われています。この学名の「caballus」の部分が、ラテン語で「小さな硬いもの」という意味を持ち、それが転じて「夜目」と呼ばれるようになったという説があります。夜目の見た目から名付けられたのではなく、学名に由来するというのは意外な事実です。まるで、馬の体に刻まれた小さな秘密の記号のようです。

項目 詳細
名称 夜目
外観 栗色の小さな塊、親指の爪くらい、黒っぽい茶色、爪のように硬く、表面はザラザラ
位置 前脚の前膊部(手首と肘の間)の内側、後脚の飛節(かかと)の内側、左右対称に一つずつ
役割 不明瞭(地面からの衝撃吸収、個体識別)
個体差 形状や模様は馬ごとに異なり、人間の指紋のように一つとして同じものはない
名称の由来 馬の学名「Equus caballus」の「caballus」(ラテン語で「小さな硬いもの」の意)に由来

夜目の起源

夜目の起源

馬の脚にある、ちょこんとした褐色の塊。まるで木に止まる蝉のように見えることから「附蝉(ふぜん)」と呼ばれています。この附蝉、一体何なのでしょうか。実は、馬の進化の歴史を解き明かす重要な手がかりなのです。

馬は、現在の姿になるまで長い進化の道のりを歩んできました。遠い昔、馬の祖先は五本の指を持っていました。それが、環境に適応していく中で、徐々に指の数を減らし、今では中指一本で体重を支えるまでに進化しました。附蝉は、かつて存在した親指の痕跡と考えられています。つまり、五本指だった頃の祖先の面影を、現代の馬も残しているのです。

附蝉をよく見ると、馬によって大きさや形、硬さ、毛の生え方などが様々です。中には、ほとんど目立たない馬もいます。附蝉がある場所は、通常、前脚の球節の裏側。後ろ脚にも稀に確認されることがあります。附蝉の位置や形状は、品種や個体によって異なるため、馬を一頭一頭見分ける際の目印にもなると言われています。

附蝉は、骨や軟骨ではなく、ケラチンという、蹄や毛と同じ成分でできています。そのため、柔らかく弾力があるのが特徴です。蹄のように削れたり伸びたりすることはありませんが、加齢とともに硬くなる傾向があります。附蝉に神経は通っていないため、触っても痛みはありません。

一見すると取るに足らない小さな塊ですが、附蝉は、馬の壮大な進化の物語を私たちに語りかけてくれます。現代を生きる馬の脚に、はるか昔の祖先の記憶が刻まれている。それは、まさに進化の神秘と言えるでしょう。

項目 内容
名称 附蝉(ふぜん)
見た目 ちょこんとした褐色の塊、木に止まる蝉のよう
意味 馬の進化の歴史を解き明かす重要な手がかり
由来 馬の祖先の親指の痕跡
特徴 馬によって大きさ、形、硬さ、毛の生え方が様々
ほとんど目立たない馬もいる
位置 通常、前脚の球節の裏側
稀に後ろ脚にも確認される
個体差 品種や個体によって位置や形状が異なるため、馬の識別にも利用可能
成分 ケラチン(蹄や毛と同じ)
性質 柔らかく弾力がある
加齢とともに硬くなる
神経は通っていないため、触っても痛みはない

夜目の役割

夜目の役割

馬の目の周りにある渦巻き模様。私たちはそれを「夜目」と呼びます。この模様は一体どんな役割を持っているのでしょうか。実は、その役割についてはまだ多くの謎に包まれています。はっきりとしたことは解明されていませんが、馬を一頭ずつ見分ける上で、この模様は大きな役割を果たしていると考えられています。

私たち人間には一人一人違う指紋がありますが、馬にとっての指紋と言えるのが、この夜目模様です。同じ模様を持つ馬は存在せず、一つ一つ模様が異なります。この特徴を利用して、海外では馬の登録や識別に夜目模様を活用している国もあります。まるで、馬の個人証明書のような役割を果たしていると言えるでしょう。

さらに興味深いのは、夜目の大きさや形は、馬の血統や年齢、健康状態によって変化すると言われている点です。生まれたばかりの子馬の夜目は、成長するにつれて形や大きさが変化していきます。また、同じ血統の馬は似たような夜目模様を持つことが多いという報告もあります。まるで、親から子へと受け継がれる遺伝子の情報が、夜目模様にも刻まれているかのようです。もしかしたら、馬の体質や性格なども、夜目模様から読み解ける日が来るかもしれません。

夜目の役割については、まだまだ研究段階です。しかし、馬の識別だけでなく、血統や健康状態との関連性も示唆されており、今後の研究成果に大きな期待が寄せられています。夜目という小さな模様の中に、馬の様々な情報が隠されていると考えると、とてもわくわくしませんか。ひょっとしたら、私たちがまだ知らない馬の秘密が、夜目の中に隠されているかもしれません。

特徴 詳細
名称 夜目
役割 馬の識別、血統や年齢、健康状態との関連性(研究段階)
個体差 一つ一つ模様が異なり、同じ模様を持つ馬は存在しない
変化 大きさや形は、馬の血統や年齢、健康状態によって変化する
血統との関連 同じ血統の馬は似たような夜目模様を持つことが多い
活用例 海外では馬の登録や識別に利用されている

個体識別への活用

個体識別への活用

馬の個体識別は、馬の管理において非常に大切なことです。特に、競馬場のように多くの馬が集まる場所では、一頭一頭を正確に見分けることは、馬の健康管理やレースの公正さを保つ上で欠かせません

馬の個体識別には、いくつか方法があります。マイクロチップを埋め込む方法も一般的ですが、馬の体に元々ある特徴を利用する方法もあります。それが、「夜目」と呼ばれるものです。夜目とは、馬の目の周りの毛色が薄くなっている部分のことで、ちょうど人間の「泣きぼくろ」のようなものです。この夜目の模様は、馬ごとに異なり、指紋のように馬を見分けるための手がかりとなります。

夜目は、馬が生まれた時から存在し、その模様が変わることはほとんどありません。そのため、マイクロチップのように、埋め込む手術をする必要がなく、馬に負担をかけることもありません。また、特別な器具を使わなくても、肉眼で確認できるという点も大きな利点です。競馬関係者は、この夜目を長年、馬の個体識別に役立ててきました

近年、技術の進歩に伴い、夜目を画像認識技術で読み取る研究も進められています。もし、この技術が確立されれば、より正確かつ迅速に馬の個体識別を行うことができるようになるでしょう。将来的には、このシステムが競馬場だけでなく、牧場や乗馬クラブなど、様々な場所で活用され、馬の管理をより効率的に行うためのツールとなることが期待されています。まるで、馬の顔写真付きの身分証明書のようです。これにより、より安全で確実な馬の管理体制が整うと考えられています。

馬の個体識別方法 概要 利点 欠点 その他
マイクロチップ 馬にマイクロチップを埋め込む 確実 手術が必要 一般的
夜目 馬の目の周りの毛色の薄い部分の模様 馬への負担が少ない
肉眼で確認可能
模様が似ている馬もいる
画像認識技術が必要
長年利用されている
指紋のような役割
馬の顔写真付き身分証明書

夜目の観察

夜目の観察

馬を間近で見る機会があれば、ぜひ脚の内側に注目してみてください。夕暮れ時や夜間になると、より分かりやすくなりますが、前脚の前膊部(肘から手首の間)と後脚の飛節(かかとにあたる部分)の内側に、栗毛色の塊があるはずです。これが夜目と呼ばれるものです。大きさは梅干しほどで、少し硬く、触るとひんやりとしています。

この夜目をよく観察すると、表面には様々な模様が刻まれているのが分かります。渦を巻いていたり、小さな点が散らばっていたり、まるで木の年輪のようにも見えます。驚くべきことに、一つとして同じ模様はなく、馬ごとに異なる個性が表れています。まるで人間の指紋のように、その馬だけの唯一無二の証と言えるでしょう。さらに興味深いのは、同じ馬でも、前脚と後脚の夜目の模様が異なる場合もあることです。左右の脚で見比べてみたり、他の馬の夜目と見比べてみたりすると、さらに面白さが増すでしょう。

古くから、この夜目の模様で馬の年齢や性質を判断しようとする試みもありました。しかし、科学的な根拠はなく、迷信の域を出ません。それでも、馬の体に刻まれた歴史の痕跡として、夜目を観察することは、馬への理解を深める良い機会となるでしょう。馬と触れ合う際には、ぜひこの小さな、しかし重要な体の一部に目を向けて、馬の個性を感じてみてください。

項目 詳細
場所 前脚の前膊部(肘から手首の間)と後脚の飛節(かかとにあたる部分)の内側
栗毛色
大きさ 梅干しほど
感触 少し硬く、ひんやりとしている
模様 馬ごとに異なる様々な模様(渦、点、木の年輪のよう)
前脚と後脚の模様も異なる場合あり
模様の役割 馬の個性を表す唯一無二の証(人間の指紋のよう)
年齢や性質の判断 科学的根拠はなく迷信
意味 馬の体の歴史の痕跡、馬への理解を深めるための重要な体の一部